すべてはここから始まりました。
同級生がやれサッカーだ野球だと女子からまっ黄色の声援を全身で浴びている青年時代。
私はスケートボードなどを嗜んでおりました。
勉強にスポーツに。友人が皆今以上、これ以上と前に向かって進むところにおいて私は横に向かって進んでいたわけでございます。
かように元来マイノリティーを良しとする性格故ウェルウィッチア・ミラビリスを知った時は一撃で欲しいと思ったわけでございます。
一科一族一種。
なんという甘美な響き。
「ほ、欲しい。」
しかし植物を育てる知識など1㎜もございませんでした。
当時は名前も知りませんでしたが今思えばクワズイモと幸福の木が部屋に飾られており、冬になり元気がなくなるとこれでもかと水をやっておりました。
これまた一撃で枯れました。
植物など水さえやっておけば育つ。
金がなくなれば生活保護をもらえばいいくらいの浅はかな考えでございます。
ワタシ→ワタシ。
私ももう中年。
こんなに大きくなりました。
しかしウェルウィッチア・ミラビリスを買おうにもホームセンターはおろか近所の花屋にも売っておりませんでした。
なんなら花屋のおばちゃんに怪訝な顔さえされました。
検索してぎりぎりヒットするも私の月給かと思うほどのお値段。
ほんならタネ蒔かんかい!ということでタネを蒔き現在に至ります。
雪が降りしきるある冬の出来事です。
これまた一撃で、というか発芽などするはずもございません。
知識がないということはそういうことでございます。
アフリカの西海岸。
ナミブ砂漠なる所に自生する植物です。
現地では一千年、二千年生きている株もあるそうです。
しかもその間2枚の葉だけを伸ばし続け、先の方には栄養がいかずボロ雑巾のようになるそうです。
しかもしかも砂漠の生き物なのに常に水浸しで育てなければならない。
飯が3杯は食べられそうな生き様ですね。